ある日突然、ケガや病気になってしまうことは人生を生きていて当然のことです。それが、軽症ですぐに治るものであれば、心配する必要がないのですが、心身に障害が残ってしまった、または、完治が難しい病気にかかってしまったとなると、将来の生活に不安を抱えてしまいます。
もし、このようなことが起こったときに受けられる主な公的サービスの概要についてまとめてみました。今は問題ない方も、身内の方で障害を持ってしまうことも考えられますので、こういう制度があることを頭の片隅に入れていただければ、幸いです。
障害者の表記については、障碍者が正しいとの意見もあり、地方公共団体では障がい者と表記されています。この項目では、法律名等との整合性を取るため、あえて「障害者」と表記させていただきます。ご了承ください。
障害者手帳
心身に障害が残ってしまった場合や知的障害であった場合には、障害者手帳を受けることができます。状況によって、以下の3つの手帳が交付されます。
・身体障害者手帳…病気又は事故で、片腕を失った場合や、視覚障害、心臓、腎臓など内臓疾患により身体の機能に一定以上の障害が永続的にあると認められた方に交付される手帳です。
・療育手帳(東京都、横浜市では、愛の手帳)…都道府県や政令市等に設置された児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された者に対して交付される手帳です。
・精神障害者保健福祉手帳…主に統合失調症、うつ病等の気分障害、てんかんなど患い、初診日から6か月以上継続している場合交付される手帳です。
ちなみに、知的障害の場合は、療育手帳になりますが、発達障害の場合は、精神障害者保健福祉手帳になります。
関係リンク 厚生労働省 障害者手帳について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
手続きについては、市区町村の障害者支援課などの窓口で行えます。
障害者手帳を取得した場合、障害者福祉サービスを受けたり、所得税・住民税の障害者控除を受けたり、各種施設の割引などを受けることができます。
自立支援医療制度
特定な病気を患った場合、医療費の自己負担が軽減される制度です。この制度には、病気別、年代別に3つに分類されます。
・精神通院医療…主に統合失調症、うつ病等の気分障害、てんかんなどを患った場合で、通院治療している人(入院の場合は対象外)。この場合は、精神障害者の手帳取得が条件となっていません。
・更生医療…身体障害者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待されるもので、主に腎臓機能障害で人工透析を受けているや、心疾患でペースメーカーを受けている人。身体障害者の手帳取得が条件です(18歳以上)。
・育成医療…18歳未満の障害児で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待されるもので、主に先天性疾患や、心疾患でペースメーカーを受けている人。手帳取得は不要です。
この場合、自己負担額が健康保険証を使った場合は3割負担ですが、自立支援医療制度を使った場合1割となり、所得に応じて負担額の上限が決められています。
関連リンク 厚生労働所 自立支援医療制度の概要https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html
手続きについては、市区町村の障害者支援課などの窓口で行えます。
障害年金
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて障害年金を受け取ることができる年金です。障害年金には、病気やケガをして病院等で診察を受けた日時点(これを初診日と言います。)で国民年金に加入している方の場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入している方は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」が支給されます。
実際の年金支給は、初診日から1年6か月を経過した日(これを障害認定日といいます。)時点で障害がある場合に支給されます。
支給金額については、障害の程度(障害基礎年金の場合は、1級と2級。障害厚生年金の場合は、1級から3級まで)、厚生年金の加入月数について変わってきます。
手続きについては、年金事務所(初診日時点で公務員など共済組合に加入している方は、共済組合)で行えます。
ただ、障害年金の手続きは、複雑で提出書類も多いことから、社会保険労務士事務所に手続きを依頼することができます。依頼すれば、すべての事務を引き受けて頂けるので、安心です。ただ、社会保険労務士へ報酬を支払う必要があります。
関連リンク 日本年金機構 障害年金https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
他にも制度があります
他にも、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス、障害児・障害者向けの手当もあります。また、市区町村独自で行っている制度もありますので、お困りの場合は、市区町村の窓口までご相談にいただければと思います。これらについては、後日、ブログにあげていきたいと思います。